東京高等裁判所 昭和33年(ラ)727号・昭34年(ラ)74号 決定
先ず抗告人が本件抗告の申立をし得る適格を有するかどうかについて考えるに、抗告人は本件競売の目的物である不動産の賃借人である旨主張するが、抗告人が右不動産につき第三者に対抗し得る賃借権を有し又はこれを占有する事実は、記録を精査してもこれを認めることができない。しかるに抗告人は、右の点において抗告申立人としての適格を欠くとしても、本件競売手続における利害関係人である木川栄次郎等の債権者として民法第四百二十三条により債務者に代位して本件抗告の申立をするものである旨主張する。しかし競売手続上の権利を民法第四百二十三条の債権者代位権によつて行使し得ることを認めた規定はなく、競落許可決定に対し右債権者代位権によつて抗告の申立をすることは訴訟法上許されないところといわなければならない。又抗告人は、右利害関係人木川栄次郎の事務管理人として民法第六百九十七条により本人のために本件抗告の申立をするものである旨主張するが、民法第六百九十七条の事務管理人が本人のために競落許可決定に対し抗告の申立をすることも訴訟法上許されないところである。以上いずれの点からするも抗告人は本件抗告申立人としての適格を有するものではないから、本件抗告はいずれもこれを不適法として却下すべきものである。
(薄根 村木 山下)